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院長の独り言

院長の独り言vol.177

院長の独り言 その177   <ノーマジーン:201610月号>

壱岐

30年程前、私がまだ研修医だった頃、真夏の壱岐の病院に先輩の先生と2週間派遣されたことがある。当時付き合っていた妻は、義母と一緒に1泊2日で壱岐に遊びに来てくれた。当然私は張り切って壱岐を案内し、地元スタッフや先輩に教えてもらった美味しい料理屋で、海の幸をご馳走した。

その時私は義母に、「結婚したらいつでも壱岐に連れていきますよ!」と言った(らしい)。時は流れ、私達はめでたく結婚し、妻の両親は婿の私をそれはそれは可愛がってくれた。さらに生後すぐから娘と息子をとても可愛がってくれて、妻の子育ても大いにサポートしてくれた。その感謝もあり、私もいろんなところへ連れていき、おいしいものもたくさんご馳走した。でも、ことあるごとに「壱岐のお魚は美味しかった」と当時の話にタイムスリップしてしまい「また行きましょうね」と私が言って終わりになっていた。

あの時はお寿司屋で一通り食べた後、ウニ好きの妻はウニの殻を割ってもらいスプーンで何個も食べていたし、関西生まれの義母は生タコの足を丸かじりしていた。そして今年のお盆に集まった時、また壱岐の話になった。これまで通りお茶を濁していたが、義母も80歳になり、足も悪いし持病もある。今は元気だがいつどうなるかわからない。壱岐に連れて行かないままとなったら後悔すると思い、10月の連休に娘と義母と私達夫婦の4人で旅行することになった。

義母は大喜びして「またあのお寿司屋に行こうね!」と言うが、お店が存在するか判らない。

それでも、30年目の約束を果たせて、少しだけ肩の荷が下りた気がする。

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