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院長の独り言

院長の独り言 その185  <ノーマジーン:2017年7月号>

「まだいない」

17年前の開業時に一緒に働いていた看護師が、15年ぶりにパート看護師として復職した。うちのクリニックで2年間勤務後、結婚退職して2児の母になった彼女は、15年たってもドジっ子の可愛いままである。勘を取り戻そうと必死に頑張っている。彼女の出戻り就職を祝い、スタッフ達と創〇で食事会をした。美味しいコース料理が終盤を迎えた頃、1人図ずつ近況報告のスピーチタイムとなった。

トップバッターが「いい職場に恵まれ、優しいスタッフと仕事ができることが幸せで、仕事が楽しい・・・」と涙を浮かべながら話をした。引き続き職場環境の素晴らしさと感謝の気持ちを何人かが話し、みんな感動の涙でウルウルだった。私も酔ったせいか思わずウンウンと頷きながら涙ぐんでしまった。しばらく聞いていると、優しいスタッフや優しい奥さんの話はあっても、私の話は出てこない。これはやばいと察した妻から「今のクリニックがあるのは、すべて先生のお陰です」と鶴の一声がかかった。その次の人からは、クリニックの居心地の良さを誉めた後に「先生のお陰です」が付け加えられたのが内心微妙だった・・・。

スタッフ同士が信頼し助け合い、仕事が楽しいと言われ、そんな関係を築いてくれたスタッフ達に私も感謝している。でも、「家より職場が落ち着ける、仕事をしている方が幸せ」と聞くと一体彼女達はどんな家庭環境なのかと心配でもある。そう言えば、スタッフから相談を受けた妻が「家出するときはうちに来ていいよ。先生が居て気にするなら、スタッフルームで寝泊まりしてもいいよ」と言うのを耳にしたことがあるが、今のところというか、幸いというか避難してきた者は「まだ」いない。

避難場所まで提供してくれて、確かに優しい職場かもしれない。

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